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「よく食べるのに痩せる」は病気のサイン?猫の甲状腺機能亢進症とは

シニア猫と暮らす飼い主様から「最近よく食べるのに、なんだか痩せてきた気がする…」というご相談をいただくことがあります。

元気そうに見えるぶん深刻に受け止めづらいのですが、こうした変化の背景に「甲状腺機能亢進症」が潜んでいるケースも珍しくありません。この病気はゆっくり進行し、症状もはじめはあいまいなため見逃されやすい特徴があります。

今回は、食欲と体重の変化を入り口に、甲状腺機能亢進症を早期に見つけるためのポイントを解説します。

■目次
1.甲状腺機能亢進症とは?|代謝が“暴走”してしまう病気
2.見逃しやすい症状|“元気にみえるのに痩せていく”はサインかも
3.なぜ痩せるのか?|代謝の仕組みで理解する“エネルギーの浪費”
4.診断と治療|“なんとなくおかしい”段階で調べる価値がある理由
5.まとめ

甲状腺機能亢進症とは?|代謝が“暴走”してしまう病気


猫の甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されることで、体の代謝スイッチが常に入ったままの状態になる病気です。

甲状腺ホルモンは体温調節・エネルギー代謝・心臓の働きなど、多くの役割を担っています。そのため過剰になると、体が休む間もなく活動し続けてしまいます。

この病気は10歳以上のシニア期に多くみられ、進行すると次のような全身への影響がみられます。

心臓への負担(心拍数の増加・心臓病リスクの上昇)
腎臓の数値変化
行動の変化

ただし、甲状腺機能亢進症は、適切な治療で症状の改善が期待できる疾患です。早期に気づいて対処することで、猫の負担を抑えながら体調を整えていくことができます。

見逃しやすい症状|“元気にみえるのに痩せていく”はサインかも


甲状腺機能亢進症のもっとも代表的な症状が 「食欲があるのに痩せる」 という変化です。よく食べ、むしろ以前より元気そうに見えることもあるため、気づくのが遅れやすい点が特徴です。

その他には、次のようなサインがみられることがあります。

落ち着きがなくなる、よく鳴く
水をよく飲むようになる
下痢・嘔吐がみられる
毛づやが悪くなる
筋肉量が落ちる

どれも「年齢のせいかな」と見過ごされやすいものばかりで、筋肉量の変化は被毛で気づかれにくいケースも多くみられます。ですが、こうした些細な変化が積み重なることが、実は病気の初期段階であることも少なくありません。

なぜ痩せるのか?|代謝の仕組みで理解する“エネルギーの浪費”


甲状腺ホルモンが過剰な状態では、体が常に「活動モード」のままになり、食べたエネルギーをどんどん消費してしまいます。そのため、

摂取カロリーが追いつかない
筋肉を分解してエネルギーに変えてしまう

といった反応が起こり、体重が減っていきます。

また、心臓が強く働き続けることで呼吸数が増え、疲れやすさ・落ち着きのなさにつながることも。加えて、下痢や嘔吐が続けば栄養吸収が悪くなり、痩せやすい状態に拍車がかかります。

「よく食べているのに痩せる」という一見矛盾した症状は、体の中で代謝が暴走しているサインともいえるのです。

診断と治療|“なんとなくおかしい”段階で調べる価値がある理由


実際の診察ではどのように病気を見極め、どんな治療につなげていくのかをご紹介します。

<診断の流れ>
甲状腺機能亢進症は、ひとつの検査だけで判断するのではなく、いくつかの視点を組み合わせて総合的に診断します。小さな違和感も見逃さないよう、最初の問診から丁寧に進めていきます。

▼問診
日常の様子を知ることは、診断の出発点です。「食事量は増えていないか」「水を飲む量はどうか」「排泄や行動に変化はあるか」など、飼い主様だからこそ気づける情報が、診断に大きく役立ちます。

▼身体検査
体重の推移、心音、甲状腺のふくらみなどを確認します。痩せ方や筋肉量の変化、心拍の速さなど、触れてみて初めてわかることも少なくありません。

▼血液検査
T4(甲状腺ホルモン)をはじめ、関連ホルモンや腎臓の数値をチェックし、体全体のバランスを見ていきます。

ただし、T4値は日によって変動することがあるため「一度正常なら安心」というわけではありません。だからこそ、問診・身体検査・血液検査を組み合わせた総合判断がとても大切です。

<治療方法>
治療の中心となるのは内服薬で、適切に続けることで多くの猫で体調の改善が期待できます。

治療によって見られる変化の一例は次のとおりです。

体重が少しずつ戻ってくる
そわそわしていた行動が落ち着く
毛並みにツヤが戻る

猫の状態によっては、食事療法や外科的治療を提案することもあります。

<なぜ“早めの診断”が大切なのか>
甲状腺ホルモンの過剰分泌は、心臓や腎臓に負担をかけることがあります。早い段階で見つけることで、こうした合併症を予防し、猫の負担を最小限にしながら治療を進めることができます。

「ちょっと気になるけれど、元気そうだし…」と思うような変化こそ、早めに相談していただくことで未来のトラブルを防ぐ大切な一歩になります。

まとめ


猫の「食べているのに痩せる」という変化は、体が発している大切なサインです。甲状腺機能亢進症は進行すると合併症が生じることもありますが、早期に気づけば治療で改善が期待できる疾患です。

かすみペットクリニックでは、生活の様子と検査を組み合わせた丁寧な診断を行い、猫の負担を抑えながら最適な治療をご提案しています。「いつもと違うかも…?」と感じたら、どうぞお早めにご相談ください。

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