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「最近ちょっと痩せた?」が気になったら|犬や猫の体重減少の原因と受診の目安

「最近うちの子、なんだか痩せた気がする…」そのような変化は、飼い主様にとって心配の種になりますよね。

犬や猫の体重減少は、加齢や一時的な体調の変化によることもありますが、中には病気のサインである場合もあります。特に食事量や運動量が変わっていないのに体重が落ちてくるときは、体の中で何か異常が起きているサインかもしれません。

今回は、犬や猫の急激な体重減少について、その原因や受診の目安をご紹介します。

■目次
1.犬や猫の体重減少とは?見落としやすい初期サイン
2.考えられる主な原因|軽度なケースから病気まで
3.病院に相談するタイミングと診断の流れ
4.ご家庭でできることと予防のヒント
5.まとめ

犬や猫の体重減少とは?見落としやすい初期サイン


「痩せてきた」というのは見た目や触れた感覚でも気づけますが、医学的には1〜2週間で体重の5%以上減少している場合を「急激」と考えます。例えば5kgの子であれば、250gの減少でも注意が必要ということになります。これは、人間でいえば60kgの人が1〜2週間で約3kgも減るほどの変化にあたり、体の中で起きている変化の大きさがお分かりいただけるかと思います。

見た目のサインとしては次のような変化があります。

背骨や腰の骨が浮き出てきた
肋骨がうっすらと分かるようになった
お尻や太ももの筋肉が落ちてきた

体重を毎日測る必要はありませんが、月に1回程度でもチェックしておくことで、小さな変化に早く気づくことができます。

考えられる主な原因|軽度なケースから病気まで


犬や猫の体重が減ってくる背景には、実にさまざまな要因があります。必ずしも深刻な病気とは限りませんが、放っておいてよいとも言い切れません。ここでは代表的なケースを整理してご紹介します。

<一時的な体調や生活環境によるもの>
夏の暑さや環境の変化で一時的に食欲が落ちると、体重が減ることがあります。また、加齢に伴って筋肉量が少しずつ落ちたり、若い子で活動量が増えて消費カロリーが増えたりして痩せて見えることもあります。こうしたケースは生活環境や年齢による自然な変化であることが多いです。

<病気が関わっている場合>
一方で、食事や生活に変わりがないのに痩せてくるときは、体の中で何らかの病気が進んでいることがあります。

・消化器の病気
慢性的な胃腸炎寄生虫感染があると、食べた栄養がうまく吸収されず体重が減ってしまいます。

・内分泌の病気
糖尿病や、猫に多い甲状腺機能亢進症では、体の代謝が異常に高まり、食べても痩せていくことがあります。

・腫瘍(がん)
がんによって食欲が落ちたり、体のエネルギー消費が増えたりすることで体重が減少します。

・腎臓や肝臓の病気
老廃物をうまく処理できなくなり、毒素が体にたまると食欲不振や代謝の異常が起き、痩せてしまうことがあります。

「痩せた=すぐに重病」と決めつける必要はありません。ただ、健康な体であれば少しくらい食欲が落ちても急激に痩せることは少ないものです。だからこそ、体重減少は体からの大切なサインと捉え、見逃さないことが大切です。

病院に相談するタイミングと診断の流れ


次のような変化が見られるときは、体の中で何らかの異常が起きていることが考えられますので、できるだけ早めに動物病院へ相談することをおすすめします。

食欲はあるのに体重が減っていく
元気がなく、ぐったりしている
嘔吐や下痢、飲水量の増加などが続いている
数週間のうちに体重が5〜10%以上減少した

これらは一見すると小さな変化に思えるかもしれませんが、背景に病気が隠れていることがあります。

<動物病院での診断の流れ>
まず生活習慣やこれまでの様子について丁寧にお話を伺い、その子に合わせた診察を行います。そのうえで必要に応じて、以下のような検査を組み合わせて原因を探っていきます。

血液検査:臓器の機能や代謝の異常を確認します
尿検査:腎臓や糖代謝の状態を評価します
画像検査(レントゲン・超音波など):臓器の大きさや形の変化、腫瘍の有無を確認します

かすみペットクリニックでは、飼い主様からの「気になる変化」を一つひとつ丁寧に伺い、その子にとって本当に必要な検査や治療をご提案しています。

早い段階でご相談いただくことで、病気を早期に見つけて治療の選択肢を広げたり、進行を抑えたり、動物の体への負担を少なくできる場合があります。「こんなことくらいで相談していいのかな」と迷うようなことでも、安心してご相談ください。

ご家庭でできることと予防のヒント


愛犬・愛猫の体重減少にいち早く気づくには、特別なことよりも「日常のちょっとした習慣」がとても役立ちます。毎日の生活の中で次のような工夫を意識してみてください。

・月1回の体重チェック
家庭用体重計に抱っこで乗り、自分の体重との差を引くだけでも計測できます。毎日でなくても、月に一度の習慣にすることで小さな変化に気づきやすくなります。ノートやスマホに記録しておくと、病院で相談するときにも役立ちます。

・フードの食べ方を観察する
単に「食べているかどうか」だけでなく「残すことが多くなった」「食べ方がゆっくりになった」などの変化もサインになります。食欲はあるのに痩せていく場合は、消化や吸収に問題があることもあるため注意が必要です。

・排便や排尿のチェック
便の状態、尿の量や回数の変化は、腎臓や消化器の病気を示していることもあります。毎日完璧に記録する必要はありませんが「なんとなく前と違うな」と思ったことを覚えておくと診察のときに役立ちます。

・定期的な健康診断
血液検査や画像検査を組み合わせることで、見た目や体重の変化だけでは分かりにくい異常も早めに見つけられることがあります。特に7歳を過ぎたシニア期には、年1〜2回の健康診断がおすすめです。

「急に痩せた」と気づいたときには、すでに病気が進行している場合も少なくありません。重要なのは「痩せ始めた」という初期の段階で異変をとらえることです。ご家庭での小さな気づきこそが、早期発見につながる大切なきっかけになります。

まとめ


犬や猫の体重減少には、加齢や一時的な体調変化のように心配がいらないケースもあれば、内臓疾患や腫瘍など重い病気が隠れていることもあります。外見だけでその違いを判断するのは難しく「大丈夫そうに見えるから」と自己判断で様子を見てしまうのはリスクを伴います。

当院では、飼い主様からの小さなご不安や気づきを丁寧に伺い、その子に必要な検査・診療を組み合わせて原因を探っていきます。「ちょっと痩せた気がする」という小さな直感こそが、愛犬・愛猫の健康を守る大切なサインです。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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