愛犬や愛猫のトイレの様子を見ていて「最近なんだかおしっこの回数が多いな」と感じたことはありませんか?
「でも病院に行くほどではないかも…」と悩まれる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。ですが、おしっこの回数が増える「頻尿」は、膀胱炎や腎臓病などの病気が隠れていることもある、体からの小さなサインです。
今回は、犬や猫の「おしっこの回数が多い」「トイレに何度も行く」といった症状について、正常との違いや主な原因、受診の流れ、治療の考え方まで詳しく解説します。


■目次
1.犬や猫の頻尿とは?正常な排尿との違い
2.考えられる主な原因|膀胱炎から腎臓病まで多様な背景
3.病院での診断の流れ|なぜ詳しい検査が必要なの?
4.治療の考え方と再発予防|症状を抑えるだけでなく、原因を取り除く
5.まとめ
犬や猫の頻尿とは?正常な排尿との違い
「頻尿」と言われても、どのくらいの回数からが“多い”のか、判断が難しいですよね。まずは、健康なときの排尿ペースを知っておくことが大切です。
<正常な排尿回数>
犬や猫の排尿回数は、次のような範囲が一般的です。
・犬:1日3〜5回程度
・猫:1日2〜4回程度
ただし、体格や年齢、食事内容、季節などによっても変化します。「うちの子はいつもどれくらい?」という日常の基準を知っておくことが、異変に早く気づく第一歩です。
<おしっこの観察ポイント>
日ごろの排泄を観察すると、ちょっとした変化にも気づきやすくなります。次のようなポイントを意識して見てみましょう。
・トイレの回数
・1回の量(多い/少ない)
・排尿姿勢(おしっこをする姿勢)をとっている時間の長さ
・排尿にかかる時間
こうした記録を取っておくと、受診の際に獣医師へ正確に伝えられ、診断の助けになります。
<頻尿の見分け方>
頻尿のサインには、次のような特徴が見られます。
・トイレに行く回数が増える
・排尿姿勢をとっている時間が長くなる、回数が増える
・1回のおしっこの量が少ない(ぽたぽたと少しずつしか出ない)
これらの変化が見られたら、早めに相談するのがおすすめです。
ここで注意したいのが「多尿」との違いです。おしっこの回数が多いだけなのか、それとも量も増えているのかによって、考えられる原因は大きく異なります。この違いを見極めることも、正しい診断の第一歩になります。
考えられる主な原因|膀胱炎から腎臓病まで多様な背景
頻尿は、単に「トイレの回数が多い」というだけでなく、体のどこかに異常があることを知らせるサインです。その背景には大きく分けて、膀胱など泌尿器のトラブルと、体全体の代謝異常が関わる場合があります。
ここでは、それぞれの代表的な原因について見ていきましょう。
<泌尿器のトラブルによるもの>
膀胱や尿道といった排尿に関わる臓器に異常があると、刺激によって頻繁にトイレへ行くようになります。
・膀胱炎・尿石症
細菌感染や膀胱内にできた小さな石(尿石)が原因で、排尿時に痛みや違和感が生じます。
おしっこが濁ったり血が混じったりすることもあり、放置すると悪化してしまうおそれがあります。
・尿道閉塞
膀胱からおしっこの出口へ続く“尿道”が詰まってしまう状態です。
排尿姿勢をとっても出ない、元気がない、嘔吐があるといった場合は命に関わる緊急状態であることも考えられるため、すぐに受診してください。
・前立腺の病気(雄犬の場合)
去勢していない雄犬(オスの犬)では、前立腺の腫れや炎症が原因で排尿しづらくなることがあります。
加齢とともに見られることが多く、頻尿の原因のひとつです。
<全身的な代謝異常によるもの>
一方で、泌尿器そのものに問題がなくても、体のバランスが崩れていることが原因となることもあります。
・腎臓病(慢性腎臓病など)
腎臓の働きが少しずつ低下すると、体に老廃物がたまりやすくなり、体はそれを薄めようとして水をたくさん飲むようになります。その結果「多飲多尿(たくさん飲んでたくさん出す)」という症状が見られます。
・糖尿病
インスリンというホルモンの働きが弱まることで、血糖値が上がり、体が余分な糖を尿として排出しようとします。そのために水をよく飲み、おしっこの量が増えるのが特徴です。
・ホルモンの病気
体内のホルモン分泌が乱れると、水分や代謝のバランスが崩れ、水をよく飲む・おしっこの量が増えるといった症状が現れることがあります。
代表的なものに、副腎や甲状腺の異常が関係するクッシング症候群やアジソン病(犬)、甲状腺機能亢進症(猫)などがあります。
▼犬のアジソン病についてはこちらで詳しく解説しています
「なんとなく元気がない」を見逃さないで|犬のアジソン病の症状と診断の重要性
・子宮蓄膿症(雌犬・雌猫の場合)
子宮内に膿がたまる病気で、発熱や元気消失に加えて、頻尿や多尿のような症状が出ることがあります。進行すると命に関わるため、避妊手術をしていない雌犬・雌猫(メスの犬・猫)の場合は特に注意が必要です。
このように、同じ「おしっこの異常」でも原因はさまざまで、治療の方向性もまったく異なります。原因を正確に見極めるためには、獣医師による検査と総合的な判断が必要です。軽い症状のうちに原因を特定し、負担の少ない治療で改善できるケースもあります。「少し気になる」と感じた段階で相談していただくことが大切です。
病院での診断の流れ|なぜ詳しい検査が必要なの?
「頻尿」は一見どれも同じように見えても、その原因はさまざまです。そして、原因が違えば、必要な治療や対応もまったく異なります。そのため、動物病院では「問診」や「検査」を通して、丁寧に原因を探ることが欠かせません。
<一般的な診断の流れ>
診察では、いくつかのステップを重ねながら、少しずつ原因を絞り込んでいきます。どの検査にも「なぜそれを行うのか」という理由があり、結果を組み合わせて総合的に判断していきます。
▼問診(お話を伺う)
まずは飼い主様から、いつ頃から頻尿が見られたのか、食欲や元気の有無、水を飲む量、他に気になる様子などを詳しく伺います。
この段階で、病気の方向性がおおまかに見えてくることも少なくありません。
▼身体検査
体温・体重・脱水の有無・膀胱の触診などを行い、全身状態を確認します。
触診だけでも「膀胱がしっかりふくらんでいるか」「痛みがあるか」などの情報が得られます。
▼血液検査
腎臓や肝臓の働き、糖代謝、炎症反応などをチェックします。
全身の健康状態を知るための、基礎的かつ重要な検査です。
▼尿検査
尿の濃さ、タンパクや糖の有無、細菌や結晶(尿石)の有無を調べます。
膀胱や腎臓のトラブルの有無を判断するための手がかりになります。
▼画像検査(レントゲン・超音波検査)
臓器の形や大きさ、尿石や腫瘍の有無などを確認します。
見た目では分からない異常を「見える化」できる大切な検査です。
これらの情報を組み合わせていくことで「どこに」「どんな問題があるのか」が明確になります。原因を丁寧に突き止めることが、根本的な治療への第一歩です。
かすみペットクリニックでは、検査結果だけで判断するのではなく、飼い主様のお話やその子の性格・生活環境まで含めて診断を行います。また、検査の意味を一つずつご説明しながら、飼い主様と一緒に最適な治療方針を考えていきます。
治療の考え方と再発予防|症状を抑えるだけでなく、原因を取り除く
頻尿の治療は「症状を抑えること」ではなく「原因を取り除くこと」が目的です。そのため、検査で原因を明確にしたうえで、最適な方法を選ぶことが大切です。
<主な病気と治療の一例>
頻尿の原因としてよく見られる代表的な病気と、その治療の一例をご紹介します。
・膀胱炎
抗菌薬や消炎剤を使って炎症を抑え、休養と水分補給をしっかり行います。
猫ではストレスが引き金となることもあるため、静かで落ち着ける環境づくりも治療の一部になります。
・尿石症
石の種類や大きさに応じて、療法食や薬での治療を行います。
石が大きい場合や、繰り返しできる場合には外科的に取り除くこともあります。
治療後は再発を防ぐため、尿の状態を定期的にチェックすることが重要です。
・腎臓病
腎臓の働きをサポートする薬や点滴、療法食などを組み合わせて治療を行います。
慢性疾患のため、状態を見ながら長期的なケアが必要になります。
・糖尿病
血糖値をコントロールするための食事療法や、インスリンの投与を行います。
脱水を防ぐため、こまめな水分摂取のサポートも欠かせません。
<ご家庭でできるサポート>
次のような日常のケアを続けていくことで、治療の効果を高め、再発防止にもつながります。
・清潔なトイレを保つ:排泄を我慢させないことが、膀胱への負担を軽減します。
・水分摂取を促す:いつでも新鮮な水を飲めるようにしたり、フードに少し水を加えるのもおすすめです。
・ストレスを減らす:安心できる環境を整え、生活リズムを安定させましょう。
また、治療が終わったあとも、症状の経過や小さな変化を見逃さないよう、動物病院での定期的なチェックや相談を継続していくことが大切です。
当院では、症状を一時的に抑えるのではなく、再発を防ぐための治療と生活サポートを重視しています。検査結果や治療方針を分かりやすくご説明し、飼い主様が安心して治療を進められるよう、丁寧に伴走いたします。
まとめ
おしっこの回数が増える「頻尿」は、軽い異常のように見えても、体の中で何かが起きているサインかもしれません。膀胱や腎臓などの泌尿器のトラブルはもちろん、全身の代謝バランスの乱れが関係していることもあります。
日常のちょっとした変化に早く気づくことで、病気の早期発見・早期治療につながります。
「いつもよりトイレが多いかも?」「おしっこの量や色が違う気がする」──そんな小さな違和感を覚えたときは、どうぞ迷わずご相談ください。
かすみペットクリニックでは、検査や治療の意味を一つひとつ丁寧にご説明し、飼い主様と一緒に、愛犬・愛猫にとって最も安心できる方法を考えていきます。
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埼玉県狭山市の「かすみペットクリニック」
