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犬や猫の自己免疫疾患とは?原因不明の発熱や元気消失、皮膚の異常が続くときに考えたい病気

「元気がない日が続いている」
「熱があると言われたけれど原因が分からない」
「皮膚のただれや出血がなかなか治らない」
「歩きたがらない日が続いている」

愛犬や愛猫にこのような原因が分からない体調不良が見られる場合、その背景に自己免疫疾患が関係していることがあります。

自己免疫疾患は、犬や猫では決して多い病気ではありません。しかし、原因が分かりにくく、さまざまな症状が表れるため、診断までに時間がかかることも少なくありません。

今回は、犬や猫の自己免疫疾患とはどのような病気なのか、代表的な病気や見られやすい症状、診断や治療の考え方についてご紹介します。

■目次
1.犬や猫の自己免疫疾患とは?
2.犬や猫で見られる代表的な自己免疫疾患
3.自己免疫疾患で共通して見られやすいサイン
4.動物病院ではどのように診断・治療を進めるの?
5.よくある質問
6.まとめ|原因が分からない体調不良が続くときは一度ご相談ください

犬や猫の自己免疫疾患とは?


免疫とは、細菌やウイルスなど体に害を及ぼすものから体を守るための仕組みです。ところが自己免疫疾患では、この免疫が何らかの理由で異常を起こし、本来攻撃する必要のない自分自身の細胞や組織を攻撃してしまいます。

攻撃される場所によって表れる症状は異なり、

血液
関節
皮膚
血管
臓器

など、さまざまな部位に炎症や異常が起こる可能性があります。

また、自己免疫疾患は一つの病気ではなく、免疫の異常によって起こる病気の総称です。そのため「自己免疫疾患だからこの症状が出る」と一概には言えず、それぞれの病気によって症状や重症度は異なります。

犬や猫で見られる代表的な自己免疫疾患


自己免疫疾患にはさまざまな種類がありますが、犬や猫で比較的見られる代表的な病気には次のようなものがあります。

<免疫介在性溶血性貧血(IMHA)>
赤血球が免疫によって壊されてしまう病気です。貧血が進行すると、次のような症状が見られることがあります。

元気がなくなる
歯ぐきが白くなる
呼吸が速くなる

▼貧血についてはこちらで詳しく解説しています
犬や猫の貧血|気づきやすい症状と原因疾患・受診の目安を解説

<免疫介在性血小板減少症(IMTP)>
血液を固める働きをする血小板が減少する病気です。次のような出血症状が見られることがあります。

あざができやすい
鼻血が出る
歯ぐきから出血する
血便が出る
血を吐く

<免疫介在性多発性関節炎(IMPA)>
免疫が関節を攻撃することで炎症が起こる病気です。発熱歩きたがらない足を痛がるといった症状が見られます。また、発熱によって食欲が低下することもありますが、関節の痛みで自分から食べに行けないだけで、食べ物を目の前まで持っていくと勢いよく食べるケースもあります。

▼免疫介在性多発性関節炎(IMPA)についてはこちらで詳しく解説しています
原因不明の発熱・歩きたがらない…犬の「免疫介在性多発性関節炎(IMPA)」とは?

<エリテマトーデス>
皮膚だけに症状が表れるタイプと、全身に炎症が起こるタイプがあります。鼻の色が抜けるかさぶたができる発熱関節炎など、症状はタイプによって異なります。

▼エリテマトーデスについてはこちらで詳しく解説しています
犬の鼻のかさぶた・色が抜けるのは病気?エリテマトーデスの症状と診断

<天疱瘡(てんぽうそう)>
皮膚や粘膜を免疫が攻撃する病気です。顔や耳、肉球などに膿疱やかさぶたができることがあります。

これらは代表的な病気であり、自己免疫疾患にはこのほかにもさまざまな種類があります。

自己免疫疾患で共通して見られやすいサイン


自己免疫疾患は病気によって症状が異なりますが、次のような共通して見られることが多い変化もあります。

原因不明の発熱
元気がない
食欲が落ちる
貧血
出血しやすい
歩きたがらない
関節を痛がる
鼻や顔の皮膚の異常
かさぶたや脱毛が治りにくい

ただし、これらは自己免疫疾患だけでなく、感染症や腫瘍、内分泌疾患などさまざまな病気でも見られる症状です。そのため、症状だけで自己免疫疾患と判断することはできません。

動物病院ではどのように診断・治療を進めるの?


自己免疫疾患は、血液検査だけで診断できる病気ではありません。血液検査では炎症を示す変化が見られることがありますが、「この数値なら自己免疫疾患」と断定できる所見はないためです。

そのため動物病院では、

飼い主様から伺う症状の経過
身体検査
血液検査
尿検査
レントゲン検査
超音波検査
必要に応じた細胞検査や組織検査

などを組み合わせながら、感染症や腫瘍などほかの病気ではないかも一つずつ確認し、総合的に診断を進めます。

当院でも「原因不明の体調不良だからすぐ自己免疫疾患」と考えることはありません。症状や経過を丁寧に整理し、その子に本当に必要な検査を組み合わせながら原因を探っていくことを大切にしています。

▼当院で大切にしている「診断の考え方」についてはこちらで詳しく解説しています
動物病院の検査はなぜ多い?納得して治療を受けるための診断のはなし

診断後は、病気の種類や重症度に応じて治療方針を検討し、定期的に状態を確認しながら治療を進めていきます。

よくある質問


Q. 自己免疫疾患は治りますか?
病気の種類や症状によって異なります。症状をコントロールしながら長く付き合っていくケースもあれば、治療によって良好な状態を維持できるケースもあります。

Q. 自己免疫疾患は血液検査だけで分かりますか?
血液検査は重要な検査ですが、それだけで確定診断できるわけではありません。症状や身体検査、画像検査などさまざまな情報を組み合わせて診断します。

まとめ|原因が分からない体調不良が続くときは一度ご相談ください


自己免疫疾患は、本来体を守る免疫が自分自身を攻撃してしまうことで起こる病気の総称です。発熱や元気消失、歩きたがらない、出血しやすい、皮膚の異常など、症状は病気によってさまざまで、ほかの病気と区別が難しいことも少なくありません。

そのため、診断では一つの検査だけで判断するのではなく、症状や経過、身体検査、血液検査、画像検査などを組み合わせながら総合的に評価することが重要です。

当院では、飼い主様から伺う日常の様子も大切な診断材料として受け止め、一つひとつの情報を整理しながら、その子に必要な検査や治療をご提案しています。「原因が分からない体調不良が続いている」「検査を受けてもはっきりしない」といった場合も、お気軽にご相談ください。

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