「熱があるのに原因が分からない」
「散歩に行きたがらず、足を痛がるようになった」
「歩き方がおかしいけれど、ケガをした様子はない」
このような症状が見られる場合、外傷や感染症、椎間板ヘルニアなどさまざまな病気が考えられますが、その一つに「免疫介在性多発性関節炎(IMPA)」という自己免疫疾患があります。
今回は、IMPAとはどのような病気なのか、見られやすい症状や診断の流れ、動物病院で確認するポイントについてご説明します。


■目次
1.免疫介在性多発性関節炎(IMPA)とは?
2.IMPAで見られやすい症状
3.見た目だけでは分からない|原因を一つずつ整理することが大切
4.適切な診断が治療の第一歩|IMPAの治療について
5.まとめ
免疫介在性多発性関節炎(IMPA)とは?
免疫介在性多発性関節炎(Immune-mediated Polyarthritis:IMPA)は、本来体を守るはずの免疫が自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
その結果、複数の関節に炎症が起こり、痛みや発熱などの症状が表れます。「多発性」と名前についているように、一つの関節だけではなく、複数の関節に炎症が起こることが特徴です。
一方で、IMPAは自己免疫疾患の中でも診断が難しい病気として知られています。発熱や関節の痛みはさまざまな病気で見られるため、症状だけでIMPAと判断することはできません。
IMPAで見られやすい症状
IMPAでは、発熱と関節の痛みが一緒に見られることが多くあります。
・発熱が続く
・元気がない
・食欲が落ちる
・歩きたがらない
・足を痛がる
・足を引きずる(跛行)
・抱き上げると嫌がる
・日によって痛がる足が変わる
特に「熱があり、歩きたがらない」という組み合わせは、飼い主様が最初に気づくことが多い症状です。
食欲については、発熱の影響で低下することがある一方、関節の痛みで自分から食べに行けないだけで、目の前まで食べ物を持っていくと勢いよく食べるケースもあります。
ただし、これらはIMPAだけに見られる症状ではありません。外傷や感染症、椎間板疾患、骨や関節の病気などでも同じような症状が見られるため、動物病院で原因を調べることが重要です。
見た目だけでは分からない|原因を一つずつ整理することが大切
IMPAでは血液検査で炎症が疑われる変化が見られることがありますが、「この数値ならIMPA」と判断できる特徴的なものはありません。
そのため診断では、
・症状の経過
・身体検査
・血液検査
・レントゲン検査
・必要に応じて関節液検査
などを組み合わせながら、原因を一つずつ整理していきます。
特に関節液検査では、関節の中の液体を採取し、炎症の状態を詳しく確認することで診断の重要な手がかりになります。
一方で、発熱と歩行異常の背景には、緊急性の高い病気が隠れていることもあります。そのため、まずは命に関わる病気ではないことを確認しながら、一つずつ可能性を整理して診断を進めていきます。
▼当院で大切にしている「診断の考え方」についてはこちらで詳しく解説しています
動物病院の検査はなぜ多い?納得して治療を受けるための診断のはなし
当院では院内で血液検査を行っているため、来院当日に全身の状態を確認し、その結果をもとに必要な診療を速やかに進めることができます。また、重症例では入院やICU管理にも対応し、その子の状態に応じた診療を行っています。
適切な診断が治療の第一歩|IMPAの治療について
IMPAでは、免疫の過剰な反応を抑える治療が基本となります。
ただし、自己免疫疾患は症状や重症度に個体差があるため、治療内容はその子の状態に合わせて検討する必要があります。治療中も定期的に状態を確認しながら、症状や治療への反応に応じて治療内容を調整していきます。
また、治療を始める前には、本当にIMPAなのか、感染症など免疫を抑える治療を行うべきではない病気ではないかを確認することも重要です。
IMPAは、適切な診断のもとで治療を始めることで、症状の改善が期待できる病気です。そのため、原因が分からないまま様子を見るのではなく、早めに動物病院で原因を確認し、必要な治療につなげることが大切です。
まとめ
免疫介在性多発性関節炎(IMPA)は、発熱や歩きたがらない、足を痛がるといった症状が見られる自己免疫疾患です。一方で、これらの症状は外傷や感染症、椎間板疾患などさまざまな病気でも起こるため、症状だけで判断することはできません。
また、IMPAには特徴的な血液検査所見があるわけではなく、症状の経過や身体検査、血液検査、必要に応じた関節液検査などを組み合わせながら総合的に診断を進めることが重要です。
当院では、飼い主様から伺う日頃の様子も大切な情報として受け止め、一つひとつの可能性を整理しながら、その子に必要な検査や治療をご提案しています。「熱があるのに原因が分からない」「歩きたがらない状態が続いている」といった場合は、様子を見続けるのではなく、お早めにご相談ください。
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埼玉県狭山市の「かすみペットクリニック」
