愛犬の鼻や顔にただれやかさぶたができたり、鼻の色が以前より薄くなったりすると、気になりながらも「様子を見ても大丈夫かな」と迷われる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
皮膚の症状だけでなく、原因がはっきりしない発熱や元気・食欲の低下が続く場合、その背景に自己免疫の異常が関係していることもあります。その一つが「エリテマトーデス」です。
今回は、犬のエリテマトーデスとはどのような病気なのか、皮膚型(円板状)と全身型の違いや見られやすい症状、診断や治療の考え方についてご説明します。


■目次
1.犬のエリテマトーデスとは?
2.エリテマトーデスで見られやすい症状
3.見た目だけでは診断できない|検査が重要な理由
4.エリテマトーデスと診断されたら?治療の考え方
5.まとめ
犬のエリテマトーデスとは?
エリテマトーデスは、本来体を守るはずの免疫が、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。犬では、大きく分けて次の2つのタイプがあります。
・皮膚型エリテマトーデス(DLE)
皮膚に症状が表れるタイプです。比較的皮膚だけに症状が表れることが多い一方で、放置すると症状が広がることもあります。
・全身性エリテマトーデス(SLE)
皮膚だけではなく、全身のさまざまな臓器に炎症が起こるタイプです。関節や腎臓などにも影響が及ぶことがあり、皮膚型より重症化しやすいことがあります。
どちらも自己免疫疾患ですが、症状や重症度は大きく異なるため、それぞれを区別して診断することが重要です。
エリテマトーデスで見られやすい症状
症状は、皮膚型(DLE)と全身型(SLE)で異なります。
<皮膚型(DLE)の主な症状>
比較的多く見られるのは、鼻や顔の皮膚の変化です。例えば、次のような症状が見られることがあります。
・鼻の色が薄くなる
・鼻にかさぶたができる
・鼻や口のまわりがただれる
・傷がなかなか治らない
・日光に当たると悪化する
最初は小さな変化でも、徐々に範囲が広がる場合もあるため注意が必要です。
<全身型(SLE)の主な症状>
全身型では皮膚症状だけでなく、次のように全身の不調として表れることがあります。
・発熱
・元気がない
・食欲が落ちる
・足を痛がる、足を引きずる(跛行)
・関節が腫れる
さらに進行すると、腎臓などの臓器に影響する場合もあります。
ただし、これらの症状はエリテマトーデスだけに見られるものではなく、ほかの病気でも起こるため、症状だけで判断することはできません。
見た目だけでは診断できない|検査が重要な理由
エリテマトーデスは、自己免疫疾患の中でも診断が難しい病気の一つです。例えば血液検査では炎症が疑われる変化が見られることがありますが、「この数値ならエリテマトーデス」と判断できる特徴的な検査所見はありません。
そのため、
・症状の経過
・身体検査
・血液検査
・必要に応じた皮膚生検(皮膚の組織検査)
などを組み合わせながら、ほかの病気の可能性も一つずつ整理して診断を進めます。
また、皮膚型だと思われる症例でも、全身への影響がないかを確認することは非常に重要です。当院では院内で血液検査を行うことができるため、皮膚の症状だけではなく、全身の状態もあわせて確認しながら診断を進めています。
必要に応じてさらに詳しい検査や専門的な治療が必要と判断した場合には、連携する専門病院をご紹介し、その子に合った診療につなげています。
▼当院で大切にしている「診断の考え方」についてはこちらで詳しく解説しています
動物病院の検査はなぜ多い?納得して治療を受けるための診断のはなし
エリテマトーデスと診断されたら?治療の考え方
エリテマトーデスの治療は、皮膚型か全身型か、また症状の程度によって異なります。
一般的には、免疫の過剰な反応を抑える治療が検討されますが、治療内容はその子の状態によって変わるため、一律ではありません。また、皮膚型では日光によって悪化することもあるため、生活環境を見直すことも大切です。
自己免疫疾患では、症状をコントロールしながら長く付き合っていくことが基本となります。そのため、症状の変化を確認しながら、その時々の状態に合わせて治療方針を調整していくことが重要です。
まとめ
犬のエリテマトーデスは、鼻や顔の皮膚に症状が表れる皮膚型(DLE)と、全身に影響する全身型(SLE)がある自己免疫疾患です。鼻のかさぶたや色が抜けるといった皮膚の変化はもちろん、原因が分からない発熱や元気消失などの背景に隠れていることもあります。
一方で、見た目だけでは診断できず、血液検査にも特徴的な所見がないため、症状や経過、各種検査を組み合わせながら総合的に判断することが大切です。
当院では、皮膚の状態だけでなく全身の状態も丁寧に確認し、その子に必要な検査を一つずつ整理しながら診断を進めています。必要に応じて専門病院とも連携しながら治療方針をご提案していますので、「鼻のかさぶたがなかなか治らない」「原因が分からない不調が続いている」といった場合は、お早めにご相談ください。
■関連する病気はこちらで解説しています
犬や猫の自己免疫疾患とは?原因不明の発熱や元気消失、皮膚の異常が続くときに考えたい病気
埼玉県狭山市の「かすみペットクリニック」
