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下痢やむくみが続くときは要注意|犬のタンパク漏出性腸症とは?

愛犬に下痢や嘔吐、むくみという症状が見られる場合、その背景に「タンパク漏出性腸症(PLE)」が関係していることがあります。

タンパク漏出性腸症はあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、放置すると全身状態に大きな影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

今回は、犬のタンパク漏出性腸症とはどのような状態なのか、見られやすい症状や背景にある病気、動物病院での検査についてご説明します。

■目次
1.タンパク漏出性腸症(PLE)とは?
2.タンパク漏出性腸症で見られやすい症状
3.なぜ起こるの?背景にある病気
4.動物病院ではどんな検査をする?
5.まとめ|長引く下痢やむくみは一度ご相談ください

タンパク漏出性腸症(PLE)とは?


タンパク漏出性腸症(Protein-Losing Enteropathy:PLE)とは、腸から本来体に必要なタンパク質が漏れ出してしまう状態を指します。

実は、タンパク漏出性腸症は特定の病名ではなく「腸からタンパク質が失われている状態」を表す言葉です。その背景にはさまざまな病気が隠れています。

通常、食事から取り込まれた栄養は腸で吸収されて体内に取り込まれます。しかし、何らかの異常によって腸の働きに問題が生じると、本来は体内にとどまるはずのタンパク質が腸から失われてしまうことがあります。

<タンパク質が減ると何が起こる?>
血液中のタンパク質には、水分を血管の中に保つ重要な役割があります。そのため、腸からタンパク質が失われることで血液中のタンパク質が不足すると、水分を血管内に維持しにくくなり、血管の外へ漏れやすくなります。

その結果、次のような変化が起こることがあります。

足先がむくむ
顔が腫れぼったく見える
お腹に水がたまる(腹水)
胸に水がたまる(胸水)

この状態が続くことで、全身にさまざまな影響が表れるようになります。

タンパク漏出性腸症で見られやすい症状


タンパク漏出性腸症の症状には個体差があります。また、初期には軽い消化器症状だけの場合もあり、病気が進行するまで気づかれないことも少なくありません。

消化器症状
比較的よく見られるのが、慢性的な下痢や軟便、嘔吐といった消化器症状です。
「お腹の調子がずっと安定しない」という状態が続いている場合は注意が必要です。

▼下痢についてはこちらで詳しく解説しています
急に下痢になっても慌てないで!|犬や猫の下痢について

▼嘔吐についてはこちらで詳しく解説しています
愛犬や愛猫が突然吐いてしまった|嘔吐の原因と受診のタイミングとは?

体重減少
しっかり食べているにもかかわらず、徐々に体重が減っていくことがあります。
消化吸収の異常やタンパク質の喪失が関係している場合もあります。

▼体重減少についてはこちらで詳しく解説しています
「最近ちょっと痩せた?」が気になったら|犬や猫の体重減少の原因と受診の目安

むくみ・腹水
タンパク質が不足すると、水分が血管の外へ漏れやすくなります。
そのため、足先がむくむ、顔が腫れぼったく見える、お腹が張って見えるといった変化が表れることがあります。

▼腹水についてはこちらで詳しく解説しています
犬や猫の腹水・胸水|おなかが膨らむ・呼吸が荒いときに考えられること

元気や食欲の変化
病気が進行すると、元気や食欲がなくなったり、以前より活動量が減ったりといった変化が見られることもあります。

このように、一見よくある症状の組み合わせの裏に、タンパク漏出性腸症が隠れていることもあるのです。

なぜ起こるの?背景にある病気


タンパク漏出性腸症は診断名ではなく症候群であり、その背景にはさまざまな病気が存在します。代表的なものとしては次のような病気が挙げられます。

炎症性腸疾患(IBD)
腸に慢性的な炎症が起こる病気です。炎症が続くことで腸の機能が低下し、タンパク質が漏れ出しやすくなることがあります。

腫瘍
リンパ腫などの腫瘍が腸に発生すると、腸の正常な構造が保てなくなり、タンパク質が失われることがあります。

そのほかにも、重度の腸炎感染症などが原因となる場合があります。背景にある病気によって治療方針は大きく異なるため、原因を見極めることが重要です。

動物病院ではどんな検査をする?


タンパク漏出性腸症は、症状だけで診断できる病気ではありません。また、似た症状を示す病気も多いため、適切な検査を行いながら原因を整理していく必要があります。

身体検査・血液検査
まずは全身状態を確認しながら「アルブミン」や「総タンパク」などの値を測定します。血液中のタンパク質が低下していないかを確認することが重要です。

便検査
寄生虫や感染症など、下痢の原因となる病気がないかを確認します。

超音波検査
腸の厚みや構造の変化、リンパ管の異常、腹水の有無などを確認します。

必要に応じた追加検査
さらに詳しい評価が必要な場合には、内視鏡検査や組織検査などを行うことがあります。

これらの検査によって、タンパク漏出性腸症の背景にどのような病気があるのかを確認し、今後の治療方針につなげていきます。

▼当院で大切にしている「診断の考え方」についてはこちらで詳しく解説しています
動物病院の検査はなぜ多い?納得して治療を受けるための診断のはなし

まとめ|長引く下痢やむくみは一度ご相談ください


タンパク漏出性腸症は、腸から必要なタンパク質が漏れ出してしまう状態です。その背景には炎症性腸疾患や腸リンパ管拡張症、腫瘍など、さまざまな病気が隠れている可能性があります。

また、下痢や嘔吐だけでなく、体重減少やむくみ、腹水などの症状として表れることもあります。こうした変化は一つひとつを見ると珍しいものではありませんが、症状が長引いている場合や複数の症状が重なっている場合は、詳しい検査が必要になることがあります。

当院では、症状や経過を丁寧に確認しながら、その子に必要な検査や治療について一緒に考えていきます。「下痢が続いている」「最近やせてきた」「お腹が張っている気がする」など、少しでも気になる変化があれば、お早めにご相談ください。

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