「最近、お腹だけぽっこりしてきた気がする」
「以前より水をたくさん飲むようになった」
「食欲はあるのに毛が薄くなってきた」
こうした変化が見られる場合、クッシング症候群が関係していることがあります。
クッシング症候群は中高齢の犬で比較的よく見られる病気ですが、ゆっくり進行することが多いため「年齢のせいかな」と見過ごされてしまうことも少なくありません。また、見た目は元気そうに見えることも多く、受診のタイミングが遅れてしまうケースもあります。
そこで今回は、犬のクッシング症候群で見られやすい症状や放置によるリスク、検査の重要性についてご説明します。


■目次
1.犬のクッシング症候群とは?
2.クッシング症候群で見られやすい症状
3.放置するとどうなる?合併症にも注意
4.症状だけでは判断できない|検査が重要な理由
5.まとめ|気になる症状があれば早めに相談を
犬のクッシング症候群とは?
クッシング症候群は、副腎から分泌される「コルチゾール」というホルモンが過剰になることで起こる病気です。
本来コルチゾールは、ストレスへの対応や代謝の調整など、生命維持に欠かせない働きを担っています。しかし、過剰な状態が続くと全身にさまざまな影響を及ぼし、特徴的な症状が表れるようになります。
クッシング症候群は中高齢の犬で比較的多く見られ、ゆっくり進行することが特徴です。そのため、初期には加齢による変化と区別がつきにくいこともあります。
クッシング症候群で見られやすい症状
クッシング症候群では、いくつかの特徴的な症状が見られます。
<多飲多尿>
以前よりも水を飲む量が増えたり、おしっこの回数や量が増えたりすることがあります。
「水の減りが早くなった」「トイレシートの交換回数が増えた」といった変化から気づく飼い主様も少なくありません。
▼多飲多尿についてはこちらで詳しく解説しています
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<お腹が張る(腹部膨満)>
クッシング症候群では、お腹だけがぽっこりと張って見えることがあります。
これは脂肪の付き方の変化や筋力低下などが関係しており、体全体はやせているのにお腹だけ目立つこともあります。
▼お腹が張る症状についてはこちらで詳しく解説しています
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<脱毛や皮膚の変化>
左右対称に毛が薄くなることがあります。
また、皮膚が薄くなる、傷が治りにくくなる、皮膚トラブルを繰り返すといった変化が見られることもあります。
▼脱毛についてはこちらで詳しく解説しています
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<食欲の増加>
食欲が増し、以前より食べたがるようになることがあります。
一見すると元気な印象を受けるため、病気のサインとして気づかれにくいケースも多くみられます。
<その他の症状>
そのほかにも、次のような変化が見られることがあります。
・筋力の低下
・疲れやすくなる
・パンティング(ハァハァする呼吸)が増える
症状の出方には個体差がありますが、複数の症状が組み合わさって表れるケースも少なくありません。
放置するとどうなる?合併症にも注意
クッシング症候群は、病気そのものが直接の死因になるケースは多くありません。しかし、治療せずに進行すると、さまざまな病気を続発することがあります。
代表的なものとして、
・血栓症(特に肺血栓塞栓症)
・糖尿病
・高血圧
・感染症
などが挙げられます。
クッシング症候群では血液が固まりやすい状態になることがあり、血栓ができると重篤な症状につながる場合があります。また、免疫力の低下によって感染症にかかりやすくなったり、糖尿病を併発したりすることもあります。
このように、命に関わるのはクッシング症候群そのものというより、続発する合併症であることが少なくありません。だからこそ、変化に気づいた段階で相談することが大切です。
症状だけでは判断できない|検査が重要な理由
クッシング症候群は、特徴的な症状が見られる病気ですが、見た目だけで診断することはできません。その理由の一つが「偽クッシング」と呼ばれる状態の存在です。
偽クッシングとは、脱毛などクッシング症候群と似た変化が見られるものの、検査を進めると実際には別の病気が関係していることが分かる状態です。
そのため、症状の経過や生活の変化から考えられる原因を整理し、その子に必要な検査を組み合わせながら一つずつ可能性を見極めていくことが大切になります。
<動物病院ではどんな検査をする?>
クッシング症候群が疑われる場合には、次のような検査を組み合わせながら診断を進めていきます。
・血液検査
・尿検査
・ホルモン検査
・超音波検査
これらの検査によって、
・本当にクッシング症候群なのか
・似た病気ではないか
・現在どの程度影響が出ているのか
を確認していきます。
また、診断だけでなく、その後の治療方針を考えるうえでも検査は重要です。症状や検査結果を総合的に評価することで、より適切な診断や治療につなげていきます。
▼当院で大切にしている「診断の考え方」についてはこちらで詳しく解説しています
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まとめ|気になる症状があれば早めに相談を
クッシング症候群では、多飲多尿や腹部膨満、脱毛などの特徴的な症状が見られます。一方で、見た目は元気そうに見えることも多く、気づかないうちに病気が進行しているケースもあります。
また、治療せずにいると血栓症や糖尿病、感染症などの合併症につながる可能性もあります。さらに、クッシング症候群と似た症状を示す別の病気が隠れていることもあるため、正確な診断のためには検査が欠かせません。
当院では、症状や生活の変化を丁寧に伺いながら、必要な検査を一つずつ整理し、その子に合った治療方針をご提案しています。「最近少し変わったかもしれない」と感じることがあれば、早めにご相談ください。
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