愛犬が、以前と比べて寝ている時間が増えたり、自分で起き上がるのが難しくなってきているように感じることはありませんか?
犬も寝たきりに近い状態になると、食事や排泄だけでなく「床ずれ(褥瘡)」への注意も必要になります。床ずれは、同じ姿勢が続くことで皮膚やその下の組織に負担がかかり、傷になってしまう状態です。悪化すると感染や痛みにつながることもあるため、早めの予防やケアが大切になります。
ただし、介護をすべて完璧に行おうとする必要はありません。まずは「悪化させないために何を意識するか」を知っておくことが大切です。そこで今回は、寝たきりの老犬に起こりやすい床ずれと、ご家庭でできる予防やケア、病院へ相談したいタイミングについてご説明します。


■目次
1.老犬が寝たきりになると起こりやすいこと
2.寝たきりの子の床ずれ予防|ご家庭でできるケア
3.すでに床ずれができてしまった場合は?
4.動物病院ではどんなことをする?
5.まとめ
老犬が寝たきりになると起こりやすいこと
寝たきりの状態になると、同じ姿勢で過ごす時間が長くなります。すると、体の一部に圧力がかかり続け、血流が悪くなってしまいます。その結果として起こるのが「床ずれ(褥瘡)」です。
床ずれは、特に次のような骨が出っ張っている部分で多く見られます。
・腰
・肩
・肘
・足の外側
最初は軽い赤み程度でも、圧迫が続くことで徐々に皮膚が傷つき、悪化してしまうことがあります。また、寝たきりの状態では筋力が落ちやすいため、さらに寝ている時間が増えて床ずれが悪化するケースも少なくありません。
そのため、傷ができてから対応するのではなく、できるだけ早い段階から予防を意識することが大切です。
寝たきりの子の床ずれ予防|ご家庭でできるケア
床ずれ予防では「同じ場所に負担をかけ続けないこと」が基本となります。
<体位交換>
同じ姿勢が長時間続かないよう、無理のない範囲で体の向きを変えてあげましょう。
頻度に厳密な正解があるわけではありませんが「できる範囲でこまめに」を意識することが大切です。
ただし、無理に動かすことで痛みや負担につながることもあるため、愛犬の様子を見ながら行いましょう。
<クッション・床材の工夫>
寝具や床材の工夫も重要です。例えば、次のような工夫によって、特定の部位への負担を減らしやすくなります。
・厚みのあるクッションを使う
・体圧を分散しやすい寝具を選ぶ
・滑りにくい素材を使う
また、床が硬すぎる環境では圧力が集中しやすいため注意が必要です。
<皮膚を清潔に保つ>
尿や汚れが皮膚についたままになると、湿気によって皮膚が傷みやすくなります。
そのため、
・濡れたままにしない
・こまめに清潔を保つ
・湿気がこもりにくい環境を作る
といったケアも大切になります。
<「寝たきりを防ぐ」という視点>
すでに介護が必要な状態であっても、自力で少しでも動ける時間を維持することは重要です。例えば、以下のようなサポートによって、完全に動けなくなることを防ぎやすくなる場合があります。
・補助しながら立つ時間を作る
・短時間でも姿勢を変える
・無理のない範囲で体を支える
もちろん、状態によっては安静が必要なこともあるため、その子に合った方法を考えていくことが大切です。
すでに床ずれができてしまった場合は?
床ずれは、初期の段階では軽い赤み程度に見えることもあります。しかし、進行すると皮膚が傷つき、感染や痛みにつながることもあるため注意が必要です。
ご家庭では、次のようなポイントを意識してあげましょう。
・強くこすらない
・圧迫を減らす
・自己判断で消毒をしない
また、次のような変化がある場合は、早めの受診をおすすめします。
・赤みや傷がある
・毛が薄くなってきた
・皮膚が硬くなっている
・じゅくじゅくしている
・出血や膿がある
・においがする
・痛がる
・傷が広がっている
床ずれは、悪化すると治るまでに時間がかかることもあります。そのため「ひどくなってから」ではなく、できるだけ早い段階で動物病院へ相談しておくことが大切です。
動物病院ではどんなことをする?
動物病院では、まず床ずれの深さや範囲、感染の有無などを確認します。
また、
・どの部位に負担がかかっているか
・痛みがどの程度あるか
・ご家庭でどのような介護をしているか
なども含めて状態を整理していきます。
それらを踏まえて、必要に応じて処置を行うだけでなく、体位交換の方法や床材の工夫、介護時の注意点など、ご家庭で続けやすいケアについて一緒に考えていくこともあります。
動物病院は“傷を治療する場所”であると同時に、“介護方法を確認する場所”でもあるということを、ぜひ知っておいていただければと思います。
まとめ
寝たきりの老犬では、床ずれが大きな問題になりやすく、進行すると痛みや感染につながることもあります。
そのため、体位交換や床材の工夫などを意識しながら、早めに予防していくことが大切です。また、すでに赤みや傷が見られる場合でも、早い段階で対応することで悪化を防げるケースもあります。
当院でも、ご家庭での介護の状況を丁寧に伺いながら、その子に合ったケア方法や必要な対応を一緒に考えていくことを大切にしています。「こんなことで相談していいのかな」と迷われたときこそ、まずはぜひ一度ご相談ください。
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