コラム

愛猫が突然走り回る・背中を触ると怒る…猫の知覚過敏症候群(FHS)とは?

愛猫が突然パニックを起こしたように走り回ったり、背中を触ると敏感に反応したりする様子に、驚いた経験はありませんか?

こうした様子は、一見すると「性格かな?」「癖かもしれない」と思いがちですが、その背景に病気が関係しているケースもあります。その一つが、「知覚過敏症候群(FHS)」と呼ばれる状態です。

今回は、猫の知覚過敏症候群(FHS)について、どのような症状が見られるのか、どんな原因が考えられているのか、また動物病院ではどのような確認を行うのかについてご説明します。

■目次
1.猫の知覚過敏症候群(FHS)とは?
2.FHSで見られやすい症状
3.原因として考えられていること
4.動物病院ではどんな診察・検査をするの?
5.まとめ

猫の知覚過敏症候群(FHS)とは?


FHSは「Feline Hyperesthesia Syndrome(フェライン・ハイパーエステジア・シンドローム)」の略で、日本語では「猫の知覚過敏症候群」と呼ばれています。「知覚過敏」という名前の通り、皮膚や神経の感覚が過敏になっているような行動が見られる状態です。

ただし、実際にはまだ分かっていない部分も多く「これが原因」と一つに断定できる病気ではありません。神経や皮膚の感覚、行動面など、複数の要素が関係しているのではないかと考えられています。

若い猫から中年齢の猫で見られることが多いとされており、突然行動が変わったように感じられるケースも少なくありません。

FHSで見られやすい症状


FHSではさまざまな行動の変化が見られます。症状の出方には個体差があり、例えば次のような様子が見られることがあります。

・背中の皮膚が波打つようにピクピク動く
・背中を触ると怒る、敏感になる
・急に走り回る
・しっぽを激しく追いかける
・毛を舐め続ける、噛む
・突然鳴く
・落ち着きがなくなる

こうした症状は、短時間だけ強く出ることもあり「発作のように見えた」と感じる飼い主様もいらっしゃいます。一方で、症状が出ていないときは普段通りに見えることも多く「遊んでいるだけかな」「気にしすぎかもしれない」と判断に迷われるケースも少なくありません。

特に猫はストレスや環境変化の影響を受けやすいため、性格や癖のように見えてしまうこともあります。しかし、症状が繰り返される場合や、以前より強くなっている場合には、一度動物病院に相談してみることをおすすめします。

原因として考えられていること


FHSは、原因が一つに決まっている病気ではなく、次のような複数の要素が関係していると考えられています。

・ストレス
・神経系の異常
・皮膚の違和感
・痛み
・てんかんとの関連

ただし、現在もはっきり解明されていない部分が多く「なぜ起きるのか」を完全に説明できる病気ではありません。

<似た症状を示す別の病気>
また、FHSと似たような症状が表れる別の病気もあります。

・皮膚病
・ノミやアレルギー
・関節や腰の痛み
・神経疾患

これらについても、背中を気にする、突然怒る、落ち着きがなくなるといった様子が見られることがあります。

そのため「FHSっぽい行動がある=FHS」とすぐに判断するのではなく、まずはほかの病気が隠れていないかを確認することが重要です。

動物病院ではどんな診察・検査をするの?


FHSが疑われる場合、動物病院ではまず症状の出方や普段の様子について詳しく確認します。

そのうえで、

・身体検査
・皮膚の状態の確認
・痛みがないかの確認
・必要に応じた検査

を行いながら、ほかの病気の可能性がないかを整理していきます。

FHSは「この検査だけで確定できる病気」というよりも、ほかの病気を一つずつ除外しながら考えていく病気です。そのため、皮膚や神経、痛みなど、さまざまな方向から状態を確認していくことが大切になります。

▼当院で大切にしている「診断の考え方」についてはこちらで詳しく解説しています
動物病院の検査はなぜ多い?納得して治療を受けるための診断のはなし

<ご自宅での様子が診断のヒントになることも>
FHSでは、診察室では症状が見られないことも少なくありません。そのため、ご自宅での様子を動画で撮影しておくと、診断の助けになることがあります。

例えば、

・どんなタイミングで起きるか
・どのくらい続くか
・体のどこを気にしているか

などが分かる動画は、とても参考になります。

また、治療や対応は、症状の出方や背景によって変わります。現在の状態を確認しながら、その子に合った対応を考えていくことが大切です。

まとめ


猫の知覚過敏症候群(FHS)では、突然走り回る、背中を敏感に気にする、毛を舐め続けるなど、特徴的な行動が見られることがあります。

ただし、その原因は一つではなく、皮膚病や痛み、神経の病気など、別の病気が関係しているケースもあります。特に、以前より症状が強くなっている場合や、生活に影響が出ている場合は、できるだけ早めに動物病院で相談しておくことが大切です。

当院では、ご自宅での様子を丁寧に伺いながら、その子に合った診察や必要な確認を一つずつ整理していくことを大切にしています。「病院に連れて行くほどなのかな」と迷われることもあるかもしれませんが、気になる行動が続いている場合は、まずは一度ご相談ください。

■関連する病気はこちらで解説しています
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