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犬や猫の脱毛の原因や危険性は?|見逃せない症状と治療について解説

愛犬や愛猫の毛が抜けると、何が原因なのか、どう対処すればよいのか悩んでしまう飼い主様が多いのではないでしょうか。換毛期による毛の生え変わりは自然な現象ですが、皮膚の病気やホルモンの異常が関わっていることもあります。

今回は、犬や猫の脱毛の原因となる病気、注意すべき症状、動物病院での診断・治療方法について詳しく解説します。

■目次
1.脱毛の原因とは?
2.動物病院に行く判断基準とは?
3.診断方法
4.治療方法
5.予防方法やご家庭でのケア
6.まとめ

脱毛の原因とは?


犬や猫の脱毛には、正常な生理現象として起こるものと、病気が関与しているものがあります。まずは、その違いを理解することが大切です。どのような場合に注意が必要なのか、詳しく見ていきましょう。

<自然な脱毛(換毛期)>
換毛期は、春や秋に毛が生え変わる自然な現象です。全身の被毛が均等に抜け、地肌が見えることはほとんどありません。また、かゆみや赤みといった皮膚トラブルも伴わないのが特徴です。

<病気による脱毛>
一方で、病気が原因となる脱毛には、以下のような特徴が見られます。

一部分の毛がごっそり抜ける
・毛をかじったり舐めたりすることで、毛が不規則に短くなる
地肌が露出する
炎症やかゆみを伴う

脱毛の原因となる病気には、皮膚の病気、ホルモンの病気、その他全身性疾患などがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。皮膚疾患による脱毛は、かゆみの有無で分類され、治療法が大きく異なります。かゆみを伴う場合、動物はしきりに掻いたり舐めたりするため、二次的な皮膚炎や感染症を引き起こすことがあります。一方、かゆみを伴わない脱毛は、免疫異常や自己免疫疾患が原因となることが多く、皮膚以外の健康状態にも注意が必要です。

<皮膚の病気>
皮膚の病気が原因の場合、かゆみの有無によって分類されます。

・かゆみを伴うもの:感染症(細菌・真菌)、アレルギー、ストレス
・かゆみを伴わないもの:免疫の異常による疾患

<ホルモンの病気>
ホルモンバランスの乱れが原因となる脱毛は、かゆみを伴わないのが特徴です。

甲状腺機能低下症
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

これらの病気以外にも、全身性の疾患が原因となって脱毛が引き起こされることがあります。脱毛の仕方や症状の有無を観察し、異常が疑われる場合は早めの対策を検討しましょう。

動物病院に行く判断基準とは?


脱毛が見られたとき、どのタイミングで動物病院を受診するべきか迷うことがあるかもしれません。ここでは、脱毛の範囲や進行のスピード、その他の症状を考慮した判断基準をご紹介します。

<脱毛の範囲とパターン>

局所的な脱毛が見られる
体の一部だけが脱毛している場合、感染症や外傷、寄生虫などが原因として考えられます。特に、脱毛部位に赤みや腫れ、かさぶたが見られる場合は注意が必要です。

左右対称の脱毛が見られる
体の左右対称に脱毛が広がっている場合、ホルモン異常(内分泌疾患)や全身性の病気が疑われます。このような脱毛は、かゆみを伴わないことが多いです。

<進行のスピード>

急に症状が悪化した
脱毛が短期間で急速に広がる場合、感染症やアレルギー反応など急性の問題が考えられます。早急な受診が望ましいです。

症状が長引く
軽い症状でも長期間続く場合は受診を検討してください。特に、他の症状が併発している場合は注意が必要です。

<他の症状の有無>

かゆみや赤みがある
脱毛部位に強いかゆみや赤みがある場合、アレルギーや感染症の疑いがあります。特に、愛犬や愛猫が頻繁に掻いたり舐めたりしている場合は注意が必要です。

フケやにおいがある
脱毛とともにフケの増加や異臭がする場合、皮膚の感染症や脂漏症などが考えられます。

皮膚の腫れやしこりがある
脱毛部位に腫れやしこりが感じられる場合、腫瘍や炎症が疑われます。

元気や食欲の低下が見られる
脱毛とともに元気がない、食欲が落ちる、体重が減少するなどの全身症状が見られる場合、全身性の病気が隠れていることがあります。

これらの症状を伴う場合は、早めに動物病院に相談することをおすすめします。

診断方法


脱毛の原因を特定するために、いくつかの診断ステップを踏みます。症状の発生状況や皮膚の状態を詳しく調べ、必要に応じて血液検査や画像診断を行います。

<ステップ1:問診>
まずは飼い主様から愛犬・愛猫の様子について詳しく伺います。

・いつから脱毛が始まったのか
・かゆみの有無
・季節性があるか
・既往症(持病)の有無

<ステップ2:皮膚の検査>
皮膚の状態を詳しく調べ、感染症の有無を確認します。

・皮膚テープ検査
・被毛検査

<ステップ3:全身の検査>
感染症が疑われない場合は、別の病気を疑って全身の検査を行います。

・血液検査で炎症や内臓機能の異常を確認
・ホルモン検査で内分泌疾患の有無を調べる
・画像診断(超音波・X線)で全身の健康状態を確認

治療方法


脱毛の治療は、その原因によって異なります。皮膚の病気が原因であれば感染症治療やアレルギー対策が必要になり、ホルモンの異常が関係している場合はホルモンバランスを整える治療が行われます。原因をしっかり特定したうえで、その原因に応じた治療方法を選択することが重要です。

<皮膚の病気が原因の場合>
感染症には抗菌薬、アレルギーには免疫抑制剤や抗ヒスタミン薬などが用いられます。

<ホルモンの病気が原因の場合>
少なくなっているホルモンを補充する、または過剰なホルモンの分泌を抑える治療が行われます。

どの病気が原因であっても、毛が完全に生えそろうまでには時間がかかるため、少なくとも1か月は治療を継続し、定期的に獣医師の診察を受けることが大切です。また、治療中に症状の悪化や元気・食欲の低下が見られた場合は、早めに動物病院に相談しましょう。

予防方法やご家庭でのケア


皮膚の病気は、日常のスキンケアで予防できる場合もあります。ここでは、適切なシャンプーや食事管理、ストレスの軽減など、ご家庭でできるケアについてご紹介します。

適切なシャンプーとブラッシング
皮膚を清潔に保ち、毛のもつれを防ぎます。

ストレス管理
環境の変化や過度な刺激を避けましょう。

清潔な生活環境の維持
寝床や毛布を定期的に掃除・洗濯し、ダニやカビの発生を防ぎましょう。

栄養バランスのとれた食事
身体の内側から健康的な皮膚の維持をサポートします。アレルゲンを含まないフードを選ぶことも大切です。

日常のスキンケアや健康管理をしっかり行うことで、脱毛のリスクを軽減できます。
また、定期的に健康診断を受けることで、飼い主様が気づかない変化や病気のサインを早期に発見できる可能性があります。早期発見・早期治療により、愛犬・愛猫への負担を最小限に抑えることができます。

まとめ


脱毛は、犬や猫によく見られる皮膚トラブルのひとつです。皮膚病だけでなく、ホルモン異常や全身性の病気が関係していることもあり、見た目だけでは判断できません。愛犬・愛猫の健康を守るためにも、脱毛が気になったら早めに動物病院を受診しましょう。
当院では、問診や検査を通じて原因を特定し、それぞれに適した治療をご提案いたします。お悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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