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犬や猫が咳をする原因は?|呼吸器や循環器の病気が隠れているかも

愛犬や愛猫が咳をしていると、「風邪でもひいたのかな?」と心配になることもありますよね。咳は、ほこりが気道に入ったり、冷たい空気を吸ったりしたときに一時的に起こることもありますが、場合によっては病気が原因であることも考えられます。
こうした症状に適切に対応するためには、あらかじめ正しい知識を身につけておくことが大切です。

今回は、犬や猫の咳の原因や対処法について詳しく解説します。

■目次
1.咳の原因は?
2.病院に行く判断基準は?
3.咳を引き起こす主な疾患
4.咳の特徴と疾患の見分け方
5.診断方法
6.治療方法
7.予防方法やご家庭での注意点
8.まとめ

咳の原因は?


咳は、鼻や喉、気管などの「空気の通り道」に異物が入ったときに起こる、体の自然な防御反応です。この反応によって、気道に入り込んだ不要な物質が体外に排出されますが、さまざまな原因で咳が引き起こされることがあります。

咳は以下のような、気道への刺激によってさまざまな状況で発生します。

・気道に痰やほこり、異物が入ったとき
・心臓が大きくなったり、腫瘍ができたりして気管や気管支が圧迫されているとき
・気管や気管支にねじれが生じたとき
・冷たい空気を吸い込んだとき
・強い臭い(芳香剤やタバコの煙など)を吸い込んだとき
・気道に炎症が起こっているとき

病院に行く判断基準は?


咳がすぐにおさまる場合は一時的に気道が刺激されただけの可能性が高く、多くの場合はそのまま様子を見ていても問題はありません。
しかし、以下のような状況が見られる場合は、何か病気が隠れている可能性も考えられますので、早めに病院を受診しましょう。

咳が長引いている、または繰り返している
息苦しそうにしている
元気がない、食欲が落ちている

咳を引き起こす主な疾患


犬や猫の咳の原因は、大きく分けて「呼吸器」と「循環器」に関連する病気が考えられます。
また、咳が急に始まったのか、それとも長期間続いているかによっても異なるため、急性か慢性かを見極めることも重要です。

<呼吸器の病気>
呼吸器に関わる疾患は、ケンネルコフ(犬)、猫風邪、猫喘息、気管支炎、気管虚脱、肺炎、気道の腫瘍、喉頭炎などが挙げられます。 これらは、呼吸器自体の異常によって咳を引き起こすことが多いです。

 <循環器の病気>
循環器に関連する病気では、僧帽弁閉鎖不全症、フィラリア症などが咳の原因となることがあります。
これらは心臓の働きや循環器系に問題がある場合に見られ、特に夜間や安静時に咳が出ることが多いのが特徴です。

 <その他>
異物の吸入、肥満、横隔膜ヘルニアも咳を引き起こすことがあります。

咳の特徴と疾患の見分け方


咳の発生期間や音の違いは、病気の種類を見分ける手がかりになります。
咳が急性の場合、感染症が原因であることが多いです。一方で、2週間以上続くような咳は慢性的なもので、呼吸器や循環器の持病が関与している可能性があります。

咳の音には特徴があり、その違いからある程度の病気の推測ができます。
たとえば、人の咳は「ゴホゴホ」や「ゲホゲホ」と表現されますが、犬の場合は「ケッケッ」や「カハッ」といったえずくような音がよく見られます。
また、「ゼーゼー」「ガーガー」といったガチョウの鳴き声のような音がする場合は、気管虚脱が疑われます。

猫の場合、咳の音は小さく、「ケホッ」と人に近い音や、「ゼーゼー」と苦しそうな音がすることが多いです。猫は咳が目立ちにくいため、気づかないこともありますが、咳が長く続く場合は呼吸器や循環器の病気が潜んでいる可能性もあります。

診断方法


まず、問診で症状の経緯を確認した後、視診、触診、聴診、打診などの身体検査を行います。これにより、呼吸器や循環器の初期の異常を確認します。

さらに詳しい状態を調べるため、レントゲン検査心臓の超音波検査を実施し、呼吸器や循環器の様子を画像で確認します。
また、必要に応じて血液検査で体内の炎症や感染の有無を調べます。こうした総合的な検査を通じて、病気の種類や重症度を判断していきます。

治療方法


咳や呼吸困難の治療には、原因に応じて薬物療法や吸入療法、場合によっては手術が選択されます。

<ケンネルコフや猫風邪の場合>
ケンネルコフや猫風邪では、咳を鎮める薬や去痰剤、抗生物質を使って症状を和らげます。また、ネブライザーで薬を霧状にして吸入させることで、気道に直接薬を届けることができます。

 <短頭種気道症候群の場合>
軽度の場合には、ダイエットや消炎剤、鎮静剤の投与によって症状が落ち着くこともありますが、重い症状の場合は手術が必要です。手術では鼻の穴を広げ、喉の奥にある「軟口蓋」という部分を一部切除して、呼吸しやすいようにします。

 <僧帽弁閉鎖不全症の場合>
僧帽弁閉鎖不全症では、血管を広げる薬や利尿剤、心臓の働きを助ける薬を使い、必要に応じて酸素療法も行います。
治療の選択肢として手術もありますが、実施している施設は限られているのが現状です。

予防方法やご家庭での注意点 


一部の感染症は、混合ワクチンや予防薬で防ぐことができます。混合ワクチンは、基本的に年に1回の接種が目安ですが、初年度はワクチンの種類や接種時期によって回数が異なることもありますので、ぜひお気軽にご相談ください。

また、犬や猫の咳は嘔吐と勘違いされることが多いため、受診が遅れてしまうことも少なくありません。もし「吐きそうで吐けない」といった様子が続く場合は、咳の可能性が考えられますので、できるだけ早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。

まとめ


犬や猫の咳には、特に問題のないものから病気が原因のものまで、さまざまな原因があります。中には、混合ワクチンや予防薬で防げる病気もありますので、かかりつけ医と相談しながら、毎年の予防を欠かさず行うことが大切です。

一時的な咳であれば様子を見ても構いませんが、咳が長引く場合や、他にも体調の変化が見られるときは治療が必要なケースも少なくありません。気になる症状がある際には、ぜひ一度当院までご一報ください。

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