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急に下痢になっても慌てないで!|犬や猫の下痢について

私たち人間は下痢をしても、「食べ過ぎかな?」や「疲れが原因かも」と、なんとなく原因を予測して、様子を見ることが多いですよね。
しかし、犬や猫の場合はもっと複雑で、飼い主様だけで判断するのは難しいことが多いです。そのため、下痢が見られたら、早めに獣医師に相談することが大切です。

今回は、もしもの時に焦らずに対応できるように、犬や猫の下痢について詳しくお伝えしていきます。

■目次
1.症状
2.原因
3.診断方法
4.治療方法
5.予防方法やご家庭での注意点
6.まとめ

症状


下痢便」とは、水っぽい便のことを指します。最初は単なる下痢でも、長引くとゼリー状の粘液や血が混じることがあります。

さらに下痢に伴って、体重が減ったり、お腹を痛がる様子が見られたりすることもあります。また、トイレで一生懸命いきんでいるのに、ほとんど便が出ないといった症状が現れることもあります。

通常、下痢によって食欲が落ちることは少ないのですが、もしも胃や腸以外の内臓に問題がある場合は、食欲が落ちることがあります。

愛犬や愛猫の便の状態をチェックする際には、以下の糞便スコアを参考にすると緊急度を判断しやすくなります。便が固い場合は便秘の可能性もあるため、次の基準を参考にしてください。

スコア1〜3:便が硬い場合は便秘の可能性がありますが、緊急度はそれほど高くありません。
スコア4〜5:便が柔らかくても形が保たれている場合は、まだ様子を見ても良い状態です。
スコア6以降:便が水っぽく形を保っていない場合は、緊急度が高くなるため、対応が必要です。

このように、便の状態を確認することで、いつ病院に連絡すべきかの目安になります。ただし、当院では基本的に獣医師の判断が必ず必要であると考えているため、飼い主様で判断せずに便に異常が見られた場合は、早めに動物病院にまずはご連絡してください。

原因


犬や猫の下痢にはさまざまな原因が考えられ、代表的なものには以下のような要因があります。

消化不良:食べ過ぎや消化に合わないものを食べることで起こります。
食物アレルギー:特定の食材に対するアレルギー反応で下痢になることがあります。
寄生虫や細菌、ウイルスの感染:感染によって腸が炎症を起こし、下痢が引き起こされます。
腫瘍:消化器系に腫瘍ができると、下痢の原因になることがあります。
胃腸炎:ストレスや感染などで胃や腸が炎症を起こすことがあります。
中毒:有害な物質を摂取した場合にも、急に下痢をすることがあります。
腎臓や肝臓、膵臓の病気:これらの臓器の機能が低下することで、下痢が現れることがあります。

診断方法


動物病院では、まず愛犬や愛猫の症状、年齢、過去の病歴などを確認します。特に食欲や年齢は、血液検査が必要かどうかを判断する際の重要なポイントになるため、しっかりと確認させていただきます。

その後、触診や聴診、糞便検査を行い、得られた情報をもとに、さらに詳しい検査が必要だと判断された場合は、X線検査や超音波検査、血液検査などを実施して原因を探っていきます。

治療方法


治療は、下痢の原因や症状に応じて適切に行います。

<主な治療方法>
薬の投与:整腸剤や下痢止め、寄生虫駆除のための虫下しなどが使用されます。
点滴:脱水症状が見られる場合は、体に必要な水分や栄養を補うために点滴を行います。
食事管理:消化に優しい特別な食事を与えることで、胃腸への負担を軽減します。
手術:腫瘍など外科的な処置が必要な場合には、手術を行うこともあります。

予防方法やご家庭での注意点


下痢を防ぐためには、まず食事の管理がとても重要です。食事の量は、1日分をきちんと計算・計量し、2〜3回に分けて与えるようにしましょう。「このくらいでいいかな」と感覚で与えてしまうと、気づかないうちに量が多くなり、消化に負担がかかることがあります。手間はかかりますが、毎回計量することで、食べ過ぎやそれに伴う下痢を防ぐことができます。

また、食べ慣れたものを与え続ける方が、胃腸への負担が少なく安心です。
ただし、新しいフードやおやつを与える必要がある場合は、最初はほんの少しだけ試して、愛犬や愛猫の体調に変化がないことを確認してから、徐々に量を増やすようにしましょう。急に多く与えると、胃腸が驚いて下痢を引き起こすことがあります。

さらに、感染症による下痢を防ぐために、ワクチンや予防薬を活用することも大切です。かかりつけの獣医師と相談しながら、予防スケジュールをしっかり立てていきましょう。

とはいえ、どんなに気をつけていても、下痢を完全に防ぐのは難しいものです。そのため、毎年の定期健診を受けて早期に異常を発見し、愛犬や愛猫の健康を守りましょう。

まとめ


下痢は、胃や腸といった消化器の問題だけでなく、腎臓や肝臓などの内臓の病気が原因となることもあります。原因を特定するためには、さまざまな検査が必要になることが多いため、まずは一旦病院までご一報ください

その際、より詳しく正確に状況を伝えられるよう、愛犬や愛猫の症状をあらかじめメモしておくとスムーズです。また、診察時に糞便検査が必要になることが多いため、新鮮な便を持参していただけると診断に役立ちます

愛犬や愛猫の体調に少しでも不安を感じた場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。毎日の小さな変化を見逃さずに健康管理をしてあげることで、大切な家族と長く安心して暮らせるはずです。何か気になることがあれば、ぜひお気軽に当院にご相談ください。

埼玉県狭山市の「かすみペットクリニック」
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